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欧州鉄鋼連盟、鉄鋼需要の回復を予測、今後の国際競争環境には懸念

(EU)

ブリュッセル発

2021年05月12日

欧州鉄鋼連盟(EUROFER)は5月6日、「新型コロナ危機」により、2020年の欧州(EU27カ国および英国)の鉄鋼需要は前年比11.1%減だったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。製造業など鉄鋼ユーザー産業が、同年3月から各国で実施された感染拡大抑止のための規制措置により大きな影響を受け、鉄鋼需要も第2四半期には前年同期比24.4%減と過去最大の落ち込みを記録するなど、2020年は欧州鉄鋼業界にとって非常に厳しい1年となったとした。しかし、規制の緩和とともに、鉄鋼ユーザー産業での需要が回復し始めていることから、2021年は反動で11.7%増になると予測。回復基調はその後も継続し、2022年には4.9%増となり、鉄鋼需要は2017年の水準を超えるとした。

EUの新産業戦略更新版を歓迎も、環境対策強化による国際競争力の低下を懸念

EUROFERは同5月6日、欧州委員会が5日に発表した2020年のEUの新産業戦略の更新版(2021年5月7日記事参照)について、付属文書として鉄鋼部門に特化した分析PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が公表され、鉄鋼業界の脱炭素化の取り組みへの支援が示されたと歓迎外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

EUROFERによれば、欧州鉄鋼業界も2050年までの気候中立(温室効果ガスの排出実質ゼロ)を目指し、100以上の脱炭素化関連事業を進行させている。EUROFERは、欧州委の分析などを基に、政策立案者、企業、労働組合によって、鉄鋼に関する行動計画を策定する必要があるとした。そして、ユーザーの環境に配慮した製品への関心を高めるほか、公共調達などを通じて、グリーンスチール(より環境負荷の少ない新たな鉄鋼材料)への需要喚起や市場の創出、研究開発への支援のほか、国際競争力の維持、カーボンリーケージ(排出制限が緩やかな国への産業の流出)の阻止、環境・気候変動対応のコストの負担の共有などが必要だと指摘した。

また、EUROFERは5月7日の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、2021年4月末~5月初旬に、EU排出権取引制度(EU-ETS)において取引される排出権(EUA)価格が記録的に上昇し、二酸化炭素1トン当たり50ユーロとなったことについて、価格の上昇によって、欧州の鉄鋼業界は、炭素排出に関する制約がない他国の競合相手に対して不利な状況に置かれ、低炭素関連の新技術への投資が困難になると警鐘を鳴らした。欧州委は一連の気候関連の規則案を7月に発表する予定だが、その中でも特にEU-ETSの見直しと、導入が検討されている炭素国境調整メカニズムは、欧州鉄鋼業界の国際競争環境に重大な影響を及ぼすとして、政策立案者に対し、新産業戦略の更新版を踏まえ、炭素コストと国際競争力の最も効果的なバランスについて再度よく検討するよう要望した。

(滝澤祥子)

(EU)

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