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裁判所が炭化水素法改正の一部条項について追加で適用を差し止め

(メキシコ)

メキシコ発

2021年05月14日

メキシコのロドリゴ・デ・ラ・ペサ・ロペス・フィゲロア経済競争・放送・通信行政担当第1連邦裁判官は5月11日、5月4日に公布された炭化水素法改正令(2021年3月30日4月16日5月6日記事参照)の一部条項の適用を暫定的に差し止めることを、エネルギー省に命じた。連邦司法審議会のウェブサイトで公開された文書によると、同命令は民間企業数社から提訴された庇護(ひご)訴訟(アンパロ、注)によるもので、適用差し止めとなるのは、第51条、第57条、第59 BIS条の改正と改正施行令の付則第4条、同第6条。市場における競争条件を平等に保つため、アンパロを提訴した事業者のみではなく、全ての事業者に対して適用が差し止めとなる。

前日の5月10日に公開されたフアン・パブロ・ゴメス・フィエロ経済競争・放送・通信行政担当第2連邦裁判官の命令においては、第51条の改正と第59 BIS条については適用差し止めを命じなかったが(2021年5月12日記事参照)、今回の命令においては、これら2つの条項についても差し止めを命じた。第51条の改正は、許認可の取得要件として「エネルギー省が定める貯蔵能力」(第III項)を追加する内容だが、これについてデ・ラ・ペサ裁判官は、改正令施行時にこの要件を満たしていないと許認可を取り消すことを定める付則第4条と合わせて適用されることにより、法改正が発効するだけで事業者が何ら新たな行為を行わなくても、事業者の許認可が突如取り消される事態を招くため、憲法第14条および第16条に基づき事業者に与えられた法の安定性・信頼性を侵害するとしている。第59 BIS条については、「国防やエネルギー安全保障、国家経済にとって差し迫った危機」の概念が不明確で、またそれを特定するメカニズムについても明らかにされていないため、事業者にとって自らの許認可がいつ、どのようなタイミングで取り消されるのかが計り知れないとし、第51条III項および付則4条と同様、事業者に与えられた法的信頼性・安全性を侵害すると結論付けている。

今回の差し止め命令により、炭化水素法改正令の主要な内容のうち、適用差し止めとなっていないのは、許認可の他者への譲渡に関する当局の承認が法定審査期間内に行われない場合、申請は却下されたものとみなす第53条の改正と、法律違反を繰り返したり、精製品の密輸を行ったりしたものに対する許認可の取り消しを定める第56条の改正のみとなる。今後のプロセスとしては、ゴメス裁判官が進めている別の事業者が提訴したアンパロと同様、5月14日に公聴会を開いた後、最終的な差し止め命令を出すかどうかを決定し、その後もう一度、公聴会を開いて対象行為(法律など)の合憲性についての判決を出す。

(注)行政府や立法府、司法府などの行為により、憲法が保障する国民や企業の基本的権利が侵害された場合、当該行為の差し止め、および無効を求める裁判制度。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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