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男女間賃金格差情報の公表を義務付け-従業員数250人以上の企業が対象-

(英国)

ロンドン発

2017年04月10日

男女間の賃金格差是正を目的として、企業が従業員に支払った賃金について、男女別のデータを年1回、報告するよう義務付ける法律が4月6日に施行された。対象となるのは従業員数250人以上の大企業で、企業自身のウェブサイトと英国政府指定のウェブサイトに報告を公表しなければならない。

報告が必要になるのは6項目

法律の正式名称は「2010年平等法2017年(男女間賃金格差情報)規則(以下、GPG法)」。社会や経済の不平等是正を目的とする2010年平等法に基づく同規則施行により、従業員数250人以上を抱える雇用主(非営利団体を含む)は毎年4月5日を基準日として、同日からの1年間に従業員に対して支払った給与額(賃金と賞与)の男女別格差に関する報告を年1回行うことが義務付けられる。

助言斡旋(あっせん)仲裁局(ACAS)と平等局(Government Equalities Office)は、対象企業・団体向けに報告に関するガイダンスを公表している。それによると、対象企業・団体は次の6項目について基準日から1年以内(初回の期限は2018年4月4日)に、企業・団体自身のウェブサイトのほか、政府により指定されたページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表しなければならない。また、その情報は少なくとも3年間、公開し続けなくてはならない。

報告が必要な項目は以下のとおり。

  1. 給与額を時給換算した平均値による男女間格差データ
  2. 給与額を時給換算した中央値による男女間格差データ
  3. 賞与額平均値による男女間格差データ
  4. 賞与額中央値による男女間格差データ
  5. 賞与を受け取った従業員の男女別比率
  6. 全従業員を所得別に4階層に分けた時の、各階層の男女別比率

報告義務が果たせない場合には、2006年平等法34条に基づき違法として処罰される。

縮小するも依然として残る賃金格差

国民統計局(ONS)は毎年、男女間の賃金格差統計を発表している。それによると、最新時点(2016年10月26日発表)では、フルタイム労働者の男女賃金格差は9.4%(女性の方が男性より平均賃金が9.4%低い)で、1997年の17.4%から格差は縮小したものの、依然として格差が残っている(図1参照)。

図1 男女間賃金格差の推移

ONSは男女間賃金格差の理由として、次の3点を挙げている。

  1. 女性の方がパートタイム労働への従事率が高い(男性の12%に対し、女性は41%)
  2. 女性の方が低賃金の職種に就業する傾向がある(図2参照)
  3. 女性は子育てのために労働時間の制約を負うことが多く、特に英国では労働時間の長さが賞与査定の基準となることが多いため不利
図2 男女別職業別就業比率

対象でない日系企業も早めの始動が必要

GPG法はこのような構造的要因があることを踏まえて制定されたが、ACASと平等局はガイダンスの中で、雇用主に対し男女賃金格差の是正に向けた「行動計画」を策定、実施するよう促している。

当地の3HR法律事務所の中田浩一郎弁護士は3月9日にジェトロが開催したセミナーで、「本規則制定には、男女間賃金格差を縮小し、それがゆくゆくは社会に資するものになるという崇高な理念がある」と指摘した上で、「男女の賃金格差をどのように克服するかを検討することは容易ではないが、格差を縮小するために、例えば在宅勤務やフレキシブルワーキングなどの導入など、会社ぐるみで工夫する必要がある」と語った。さらに、「将来的にはより従業員の少ない企業へと対象が拡大される可能性もある」とし、「現時点では対象でない企業も、企業イメージを高める観点から、規則に沿った作業を行い、自社の男女間賃金格差を認識して、それを縮小していく努力は必要だ」と話している。また、進出日系企業に対しては、「行動計画の策定には日本本社への情報提供と承認が必要なため、早めの始動がいい」とアドバイスしている。

(岩井晴美)

(英国)

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