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アシックス、ホグロフス買収でシナジー効果を期待−欧州の新ビジネスモデルを探る(8)−

(オランダ、スウェーデン)

欧州ロシアCIS課

2011年03月29日

スポーツ用品メーカーのアシックスは2010年7月、スウェーデンのアウトドア用品メーカーのホグロフスを買収した。企業風土や哲学の類似した北欧トップブランドの買収でシナジー効果を目指す。シリーズ最終回。

アシックスの戦略について加藤克巳執行役員グローバル室長に聞いた。

<海外売り上げの拡大に伴い管理体制を見直し>
アシックスは1949年に神戸に設立された鬼塚商会を前身とし、創業者の意向もあって早くから海外展開に着手、欧州に進出したのも75年だった。アムステルダムにある欧州統括拠点の売上高は、2000年以降08年の金融危機まで毎年2ケタ台の高成長を続けてきた。欧州は同社の売上高の約4分の1を占めている。

海外売上比率は現在、60%を超えている。海外売上高の拡大に伴い、欧州統括会社の役割についても見直しを進めてきた。欧州市場統合の進展に伴い、小売り流通間での競争が激化したり寡占化が進んだりした中で、一層の効率化が求められたためだ。

欧州市場の特徴は、民族・文化が多様で、消費者ニーズも多様なことだ。そこで、ここ5年ほどで、欧州全体をカバーする広報・販売戦略を立てることを基本としつつ、販社を地域ごとにグループ化し、それぞれのグループに独自の販売戦略をとらせるなど、状況に応じたきめ細かな対応を行うように変えてきた。

地域は、北欧とベネルクス、ドイツとオーストリア・スイス・東欧、フランスとイタリア・スペインというようにまとめた。これにより地域に合った的確な方針や効率の良さ、シナジー効果などが期待できる。各国の販売責任者からそれぞれの販社の社長に報告するだけでなく、欧州統括会社の販売責任者にも同時に報告する体制に変えたり、代理店任せだったロシア、スペインなどの重要市場の代理店を子会社化したりと、市場との距離を近づけるよう工夫している。

日本の本社では、10年4月に海外販社とのコミュニケーションを担当する専門の部署として、グローバル事業室をつくり、海外販社とのコミュニケーション強化を図っている。

<ウィンタースポーツ、アウトドア用品の拡充で収益の安定化を図る>
アシックスは10年7月、スウェーデンのメーカー、ホグロフスを、北欧のエクイティファンド、ラトスから約10億スウェーデン・クローナ(約113億円、当時)で買収した。ホグロフスはアウトドア衣料、装備のプレミアムブランドとして知られる。アシックスはランニング用品などいわゆる春物スポーツ用品を中核事業としており、これまでカバーできていなかった分野だ。

アシックスは北米でも欧州でも2ケタ台の成長を維持してきたが、今後さらなる成長のために自社のプロダクトポートフォリオを見直し、カバーできていない分野があると判明した。その1つがアウトドア衣料と装備だった。

冬が長い欧州では、冬の気候にスポーツ市場全体が左右されがちだ。特にドイツ、スイス、オーストリア、フランスなどアルプス周辺の国では、冬はスキーがアウトドアの中心スポーツになる。春物スポーツ用品の仕入れは冬季スポーツ用品の売り上げに左右されることが多く、ウィンタースポーツ用品やアウトドア用品の品ぞろえの強化は、経営の安定化につながると判断した。

<「ホグロフスは磨かれざる原石」>
ホグロフスは、全体に高付加価値、高価格型の北欧のスポーツ用品市場でも、アウトドア用品のトップブランドとしてスウェーデンやフィンランドで地位を確立している。アシックスもランニング用品を中心に、欧州市場では比較的、高品質で高価格帯を狙ってきた。この点で両社は共通する。

買収に当たり、ホグロフス側から「アシックス・ヨーロッパの経営方法を見本にしてきた。オーナーになってもらえて喜んでいる」といわれた。両社の企業哲学、経営方針には類似性があるということだ。

ホグロフスの売上高の5割以上を北欧市場が占めているが、同社の知名度は日本でも高く、磨かれざる原石だと考えている。ホグロフスの製品は北欧以外の欧州では、バッグやテントなど装備類の評価が高いが、アシックスの技術を活用してホグロフスのシューズを開発したり、アシックスのネットワークを活用して、防寒衣料を欧州全体の市場に販売したりといった具合に、買収によるシナジー効果を期待している。

(岩井晴美)

(オランダ・スウェーデン)

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