特集:アフリカにおける医療機器ビジネスの可能性独自開発した医療器具でアフリカ市場開拓を目指す

2021年9月9日

安井株式会社(本社:宮崎県東臼杵郡、代表取締役社長・堀田道臣)は、創業以来、培ってきた印刷やプラスチック成形などの技術を生かし、術野を明るくするコードレスLED照明付き透明プラスチック鈎(かぎ)「コウプライト」を開発し、医療分野に参入した。2017年には台湾と韓国にコウプライトを初輸出し、海外市場開拓への取り組みを開始した。2021年にはジェトロが主催したアフリカ・オンライン商談会にも参加するなど、アジア、欧州のその先には、アフリカ市場も視野に入っている。同社の取り組みについて、メディカル部門海外営業課の川口氏に話を聞いた(2021年7月19日)。


安井株式会社メディカル部門海外営業の川口氏(ジェトロ撮影)
質問:
会社の概要と医療分野への取り組みについて。
答え:
創業は1930年で、印刷業に始まり、発泡スチロールやプラスチック射出成形など事業を拡大してきた。取引先の医療用プラスチック部品を扱っていたことをきっかけに、医療分野への事業拡大を決め、これまで培ってきた技術を生かして医師と共同開発したのが自社のオリジナル商品である「コウプライト」だ。

コウプライト(同社提供)
質問:
海外ビジネスの取り組みについて
答え:
「コウプライト」は当初、国内市場向けとして製品開発をしていた。しかし、商品の特性上、世界中のどの地域でも使えることから、海外でも可能性があると感じ、海外販売を視野に入れつつ取り組むこととなった。2016年11月に商品が完成すると、国内市場に売り出すと同時に、毎年ドイツで開催される医療機器見本市「メディカ(MEDICA)」に出展した。翌年の2017年には、韓国と台湾に輸出を開始した。2018年に欧州のCEマークを取得したことにより、欧州・欧州外を問わず、各国の規制当局の要求を満たすことができるようになった。2021年8月現在ではアジア、欧州、中東の7カ国に販売店契約があり、さらに新規数カ国へサンプルを輸出し、販売店契約に向けた交渉を進めている。
海外で商品を売り込むにあたって、毎年「メディカ(MEDICA)」に出展するほか、2020年には初めて中東最大の医療機器展示会「アラブヘルス(Arab Health)」にも出展した。2016年の売り出し当初から、照明を搭載していることとコードレスであるという独自性、また「メイド・イン・ジャパン」の品質を高く評価されてきた。最近では米国で同様の製品が出てきており、ユーザーのニーズに応えるべく製品改良に向けた研究を継続している。特に、滅菌済み・単回使用品への対応は市場からの強い要望により、欧州の規制法規の変更を機に取り組む予定にした。新型コロナウイルスの影響は、需要面ではないと考えるが、販社が病院に出入りできないなど、新規の取り組みがしづらくなっているなどの影響が出ている。
質問:
アフリカ市場への取り組みは。
答え:
ジェトロの主催したアフリカ・オンライン商談会では、チュニジア、ケニア、アルジェリアの3カ国のバイヤーと商談を行った。チュニジアの歯科関連商材を扱うバイヤーは、今回、歯科以外に一般手術用機器の取引を検討しており、興味があるとのことだった。ただ、本製品を再処理する際、歯科では一般でない滅菌処理が必要となるため、バイヤーに滅菌方法について確認をお願いしている。チュニジアは旧フランス領でもあり、フランスと同様の規制が適用されるとすると、滅菌条件が特殊でその点に懸念がある。チュニジアの衛生ガイドラインについて、今やり取りしながら確認しているところだ。ケニアも感触が良かったが、現在連絡待ちである。一方で、アルジェリアでは滅菌処理できる医療機関が限られるとのことから、交渉は難航した。
今は欧州に特に力を入れて取り組んでいるものの、欧州はアフリカとつながりが深い地域でもあり、欧州と並行しながらアフリカ市場にも積極的に取り組んでいきたい。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部中東アフリカ課
小林 淳平(こばやし じゅんぺい)
2021年、ジェトロ入構。同年から現職。

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