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特集:高度人材の宝庫ロシア:魅力と課題多国籍社員で顧客のビジネス課題解決に挑む(日本、ロシア)

2021年7月14日

Arithmer外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます (アリスマ―、本社:東京都港区)は、「数学」を武器に顧客の抱える課題解決に挑むベンチャー企業だ。動画解析や3Dデータ解析といった技術を生み出す同社は、日本人社員のみならず、ロシアをはじめさまざまな国・地域出身の人材を雇用している。ロシアを含む高度外国人材の活用について、同社研究開発本部長の富樫淳氏に、また、日本での就労に至るまでの経緯や現在の業務内容について、ロシア出身で営業推進部のドミトリー・ゴレフ氏に話を聞いた(6月15日)。


富樫研究開発本部長(Arithmer提供)
質問:
会社の概要と事業内容について。
答え:
(富樫氏)当社の創業は2016年。東京に本社を置いている。「数学で社会課題を解決する」ことをミッションに掲げ、「数学」を土台にした技術、具体的には(1)光学文字認識技術(OCR)、(2)動画解析、(3)静止画解析、(4)ビックデータ解析、(5)自然言語処理(NLP)、(6)ロボティクス、(7)3次元データ解析などを用いて、顧客の抱えるビジネス上の課題解決を支援している。
とりわけ近年注目されているのは、動画解析と3次元データ解析だ。前者の一例として、工場の生産ラインでの不良品検知システムや設備の異常検知システムが挙げられる。動画データの処理速度や、不良品に関する情報の学習速度が速く、高い精度で異常を検出することができる。後者の代表例は衣類の自動採寸システムだ。衣料品メーカーと連携して、スーツやワイシャツの自動計測サービスを立ち上げたところ、メーカーのECサイト上での対象商品の売り上げが、サービス導入前と比較して約7倍に拡大した。このほか、金融や保険会社、飲食業など幅広い業界の企業に当社の技術を採用いただいている。
質問:
どのような点で他社と差別化を図っているか。
答え:
(富樫氏)既存の技術を活用するだけでなく、数学をベースにこれまでにない新たな手法を作ることができる。また、先述の7つの技術を組み合わせて顧客の課題解決にアプローチできる点も特徴だ。他社はいずれか1つの技術に特化している場合が多い。
質問:
富樫本部長の経歴は。
答え:
(富樫氏)学生時代は機械工学を専攻、自律型ロボット(注1)を研究していた。修士課程修了後は電機メーカーに就職し、カーオーディオのディスクドライブの設計に従事した。数学で社会課題を解決するというビジョンに共感して2020年にArithmerに入社。現在は研究開発本部長として、社内で行われる研究開発プロジェクトのマネジメントに携わっている。
質問:
会社全体の人員体制は。
答え:
(富樫氏)90人弱の社員がいる。外国人材も採用しており、現在はトルコ、フランス、インド、ペルー、中国出身のエンジニアと、マーケティング業務に従事しているロシア人社員を抱えている。
質問:
外国人材を採用する理由は。また、そのメリットは。
答え:
(富樫氏)外国人材に絞って募集するという方針ではなく、当社が必要とするスキルを持つ求職者がたまたま外国人だったケースが多い。外国人の求職者はおしなべて真面目で実直、仕事に対して中途半端な姿勢を見せないため、貴重な戦力となっている。外国人社員を雇用する際に課題となるコミュニケーション面については、マネジメント層に英語が堪能な社員が一定数いるため、技術的な話題では日本人と外国人の間で認識に齟齬(そご)が生じることはあまりない。このように国籍にこだわらない人材活用をしている。
質問:
ロシア人社員とはどのように接触したか、また、なぜ採用したか。
答え:
(富樫氏)人材紹介会社から提案があったためだ。オンラインマーケティングのスキルを持っている人材を募集したところ、当社が求める要件にマッチする人材がロシア人だった。

(以下、ドミトリー・ゴレフ氏へのインタビュー)


営業推進部のゴレフ氏(Arithmer提供)
質問:
現在の業務内容は。
答え:
(ゴレフ氏)オンラインマーケティング業務に従事している。具体的には、オンライン広告の作成や広告掲載後の費用対効果の検証、マーケティング戦略の企画・立案、PR動画作成、SEO対策(注2)、ウェブサイト構築支援などだ。このうち動画作成スキルは、前職の業務を通じて身に着けた。それ以外は独学で習得した。
質問:
自身の経歴と日本に興味を持ったきっかけは。また、来日の経緯は。
答え:
(ゴレフ氏)ロシア中部ウラル山脈南部に位置するチェリャビンスク出身。幼いころから極真空手を習っており、宮本武蔵や徳川家康など日本の歴史上の人物にも興味があった。高校卒業後はチェリャビンスク国立大学に進学し、日本の政治経済や日ロ関係を学んだ。
大学卒業後、日本で働きたいと思うようになり来日。2014年に日本語学校に入学して1年間勉強した。卒業後は人材紹介会社やメディア系の会社に勤め、2021年に当社に入社した。現在の会社を知ったきっかけは人材紹介会社からの案内。自身のスキルとArithmerが求めているものが合致していると思い応募した。
質問:
日本での就職活動で苦労したことは。
答え:
:(ゴレフ氏)2つある。就職活動を始めた時期が新型コロナウイルス禍と重なり、転職希望者が増えて競争が厳しくなったことと、就職の際に高いレベルの日本語運用能力が必要な点だ。英語だけで十分とするところもあるが、多くの日本企業は高レベルの日本語力を求めていると感じた。
質問:
今後の目標は。
答え:
(ゴレフ氏)新型コロナ禍の収束後、まずは当社の海外進出戦略立案に携わりたい。自社サービスの提供を通じてより多くの人の役に立ちたいと考えている。

注1:
人間が操作することなく、自分自身で判断して行動できるロボット。
注2:
検索エンジンで自社に関連するキーワードが検索された際に、自社ウェブサイトが上位に表示されるよう、さまざまな改善作業を行うこと。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部欧州ロシアCIS課
宮下 恵輔(みやした けいすけ)
2019年4月、ジェトロ入構。海外調査企画課を経て現職。

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