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サステナブルファッションに高まる関心(日本、世界)

2021年7月9日

日本でのSDGsの普及や環境問題に対する意識向上から、サステナブルファッションに対する関心が高まっている。本稿では、新型コロナ禍の下で開催されたサステナブルファッション展示会とその今後の予定、サステナブルファッションの環境配慮要因と対象品目の広まり、サステナブルファッション製品普及に向けた期待や展望、について紹介する。

サステナブルファッション企業が一堂に会する展示会、10月にも開催予定

大型展示会「ファッションワールド東京2021秋」(主催:リードエグジビションジャパン、東京ビックサイト)の中で2021年10月18~20日、「第1回国際サステナブルファッションEXPO秋」(以下、「秋展」)が開催予定だ(注1)。同展示会には、エコ、リサイクル、アニマルフリー、エシカル、オーガニック、フェアトレードなどサステナビリティを考慮したファッション製品や素材を取り扱う世界各国の企業が出展を予定する。出展される製品は、(1)アパレル、(2)かばん、靴、雑貨、(3)アクセサリーなどだ。素材としては(1)テキスタイル、(2)再生皮革・素材、(3)天然素材・糸などが想定される。「8月末ごろ出展企業が確定した後に、出展企業概要につき公表予定」(同展示会関係者)という。

2021年3月23~25日の「ファッションワールド東京2021春」(東京ビックサイト)に合わせて開催された「第1回国際サステナブルファッションEXPO春」(以下、「春展」)では、(1)和紙を主原料とする素材・製品や、(2)バナナの廃棄材から生まれたサステナブルな天然繊維素材(バナナ繊維糸)、(3)糸、生地、服に何度でも蘇生できる循環型のエコファッション製品、(4)土に還るTシャツ(堆肥分解性ポリエステルにオーガニックコットンをブレンドした天竺を用いたもの) をはじめ、数多くの製品や素材が展示・紹介された。コロナ禍下にもかかわらず延べ約1万3,000人の来場者があり、サステナブルファッションに対する関心の高さが見受けられた。このほか、オンライン上での参加もあった。さらに、Zoomなどを駆使して海外の有力バイヤーなどと遠隔マッチングされ、1,000を超えるオンライン商談が成立した。なお、ジェトロも小規模ながら海外のバイヤー5社と出展業者間のオンライン商談会をアレンジ。海外バイヤーからの出展品目に対する評価も高く、レディース用アパレル商品など複数の成約につながった。

この展示会を視察したアパレル企業関係者は、「ファッションワールド東京展示会の各テーマ別の展示ブースの中で、サステナブルファッション展示会のブースが圧倒的ににぎわっていた。また、展示会に合わせて開催されたサステナブルファッションを取り扱う企業関係者による講演会にも多くの企業関係者が参加していた。日本のファッション業界全体がサステナブルファッションに向けた商品開発の必要性を認識し始めている。どのようなサステナブルファッション製品が開発されているのか、展示会で間近に見たかったため来場した」と述べた。


「春展」会場の様子(リードエグジビションジャパン提供)

環境配慮要因と、素材・製品から副資材など環境配慮対象品目の広がり

ファッション製品がサステナブルであるための必要条件として、環境に配慮された素材の使用が挙げられる。具体的な環境配慮事項として、専門ウェブサイトでは、(1)材料を生産する人々の労働環境や、(2)材料の二酸化炭素排出量、(3)リサイクル可能な繊維かどうか、(4)生産工場間の輸送、(5)輸送時の保存に使用される化学物質、(6)小売店と消費者への出荷などが指摘された(注2)。そして、肥料や農薬、その他の土地に有害な合成農薬を使用せず栽培されたオーガニックコットンなどがサステナブルファッション製品の典型的な素材となる(注3)。2021年3月の「春展」では、先述の環境に配慮した様々な素材・製品だけでなく、アパレル製品の副資材(芯地、織ネームなど)でもサステナビリティを意識した新商品が展示・紹介された。「いくつかの企業に大変興味をひかれた。例えば、ビニールバッグの取っ手部分に丸い穴を空ける際、穴部分のビニール端材を捨てずに利用し納品用の袋を作り提案する企業や、紙、竹、バイオマスからハンガーを作る企業、などだ」(先述の企業関係者)との声もあった。

「秋展」には前回の2倍以上の出展企業を見込む

主催のリードエグジビションジャパンで同展示会の事務局長を務める矢島大地氏は、「秋展」開催に向け、「業界においては、さらにサステナブルファッションを進めていく機運が高まったと感じている。10月の開催では、前回3月開催時より2倍以上の出展企業を見込んでいる」「前回はキー局はじめ、50近い媒体が来場した。このことから、本展が発信の場としても注目されていることも感じている。本展示会がさらに産業の発展を促進し、商売につながる場になるよう、次回も来場者をしっかり招致していく所存」「コロナ禍で多くのビジネス機会がオンライン上でできるようになった。一方で、実際に製品に触れて、直接出展企業と商談したいというニーズも一方では急速に高まっている。そのニーズに応える場を本展は提供し続けたい」「確かに、海外からの来場については渡航制限がある可能性がある。だとしても引き続き、遠隔マッチングという新たな形式を通して、世界各国の有力バイヤーとの商談機会を設けていく」と述べた。

また、アパレル企業関係者は、今後のメーカー側の対応に関し、「3月の展示会ではサステナブルな素材の出展がメインだったと思う。メーカー側としては素材の特性や機能をよく理解し、それを生かすデザインを考えていく必要があるのではないか」とした。


注1:
春と秋に開催される展示会「ファッションワールド東京」に併催。
注2:
【徹底解説】サスティナブルファッションの条件8つ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(FERMAGA、2020年3月19日付)
注3:
注2の解説記事では、サステナブルファッション製品の素材として、オーガニックコットン以外に、自然着色のカラーコットン、大豆外皮(豆腐など大豆製品の副産物)を使用した素材、ヘンプ(大麻)、竹、再生繊維リヨセル(ユーカリを溶剤で溶かして製造)、などが紹介されている。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部上席主任調査研究員
川田 敦相(かわだ あつすけ)
1988年、ジェトロ入構。海外調査部アジア大洋州課、シンガポール、バンコク、ハノイ事務所などに勤務、海外調査部長を経て2019年4月から現職。主要著書として「シンガポールの挑戦」(ジェトロ、1997年)、「メコン広域経済圏」(勁草書房、2011年)、「ASEANの新輸出大国ベトナム」(共著)(文眞堂、2018年)など。

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